時を超えて住み守ってきた古民家。躯体一本一本から今までの歴史が滲み出てくるようである。今まさに新たな歴史の始まりです。
耐震リフォームには様々な方法があり、その家にあった施工方法を選んでいく必要があります。例えばダンパーを用いて、地震の震動エネルギーを吸収し、建物の揺れを小さくする制震工法などもあります。もちろん耐震補強を行う上で一番大事な基礎本体の補強も同時に施工する必要があります。そのように家の状態に合わせて、適材適所の耐震方法を探り出し現状を見極める力も旧家リフォームの大切な技術のひとつだと考えております。
梁とは、建物の水平方向に架けられ、屋根や床の荷重を柱に伝える構造材。梁の端に柱がある「大梁」と、柱に直接つながっていない「小梁」とに大別できますが、架け方や継手にはさまざまな技術と呼び名があります。旧家の梁やマルタは太くて逞しいが、実は梁やマルタは、その固さで家を支えているのではなく、特にマルタは曲がろうとする力と曲がるまいとする力のバランスで支えているのであり、その特徴を活かした技術が「わたり」という組み方です。そのように旧家は昔ながらの施工方法で建造されているのでそれ相応の技術と経験がなければ、施工は難しいのです。ですが私たちなら長年の風雨で痛みが大きい箇所はもちろん構造的に諦めていたプランも実現致します。
性能表示制度により高齢者等配慮対策等級が定められ、新築の住宅ではバリアフリー化が一般的になっていますので旧家リフォームの時には子供からお年寄りまで、いつまでも安全、快適、便利に住まい続けられるよう、機器や部材の交換だけではなく、住まいを総合的に診断し、将来に向けたリフォーム提案を致します。
旧家リフォームの場合、完全な気密施工が難しいのが現実ですがグラスウールの長尺タイプを使用して継ぎ手なく上下きっちり施工し、ウレタンフォームなどを併用して断熱性を確保することが可能です。
旧家には地元の木はもちろん現代では貴重な材が使われていることが数多く、天井の梁や木組みは歴史を感じるものとして、かけがえのないものです。しかし年数と共に痛みがあるのも事実だと思います。現代の住宅では見なくなった格縁天井なども私たちは再現致します。その素材をどう残すか、どう活かすか、それは旧家リフォームの重要なテーマのひとつだと考えています。
細かい細工のある建具は日本人の真骨頂。単に機能を果たすだけではなく、意匠にも凝ったものが多いのです。旧家のリフォームの際には、断熱の観点から既存の建具をアルミサッシに交換することが多いのですが、その歴史ある美しさを捨てるに忍びないため、内装建具とし敷居、鴨居を新たに造り再利用することをお勧めします。
屋根は、雨や雪、強風や日差し、気温の変化、粉塵などから家を守る役割を担っている。屋根のデザインは、その土地の気候風土によって選ばないといけません。素材も、茅、藁、瓦、銅板などに分かれます。また、軒下の梁をはじめ、様々な箇所に棟梁の「見せる仕事」が施されています。それだけ屋根自体のフォルムは旧家にとって大事なのです。リフォームの際は屋根の素材だけでなく形状の変更も可能です(切妻から入母屋など)。その時は歴史を刻んだ瓦の一部を外装や内装の一部に用いるのもいいかもしれません。